積み上げられる本の枕

答えを出す人

「おまえは俺に似て、嘘が下手だ。」

という、物語後半の父の言葉にじんわり伝わる温かさを覚えて気付く。
あぁ、ここのところが読みたくて、
二度もこの本を手にとったのか。

これをやっておけば安心、なんてものをやっておきたくなるんだけど
これはやってはいけないから、やらないって事にしておきたくなるんだけど
そうも言っていられない時、悩みあぐねた道の長さでその人の魅力が増す。

「自分で考えろ!」
て、神頼みをしたら神様に言われたらしいよ。

出された答えにすがる人より、答えを出す人になりたい。
難しいのは苦手だけど。



重力ピエロ

著者:伊坂 幸太郎

重力ピエロ



| | コメント (0) | トラックバック (0)

なぜ なぜ やわらかい?

眠るように生きたい。しかも最近それができている。
と、友人が満足気な顔で最近よく言います。
「眠るように生きる。」
言葉の響きは好きだけど、どこかでネガティブなニュアンスが感じられて
いまひとつ賛成しないなぁ、と思っていた。
そしたら最近、
「いつもオーバーの中にこいぬをいれているような、ほのぼのとした気持ち」
と言う文章を村上春樹さんが書いているのを本で読んだ。
友人の言う「眠るように」というのがこういう意味ならば許せるな、と思った。

写真が苦手な村上さんは、カメラのレンズを向けられるとどうしても
顔が硬直してしまうのだけど、同じ空間に動物がいるとびっくりするほど
リラックスできるそう。
そして、『こいぬはなぜあったかい』という古い童謡がすきなのだそうです。

こいぬは なぜ なぜ こいぬは やわらかい?
こいぬを オーバーに しまって あるこうよ。
こいぬ こいぬ ちび なぜ やわらかい?

実際にオーバーの中に子犬を入れて生活するのは、
かなりむずかしいそうだけどね。って。


『村上ラヂオ』 村上春樹+大橋歩



| | コメント (0) | トラックバック (0)

そしてまた、春の話。

「春が2階から落ちてきた。」

伊坂幸太郎『重力ピエロ』の始まりの一文。
落ちてきた「春」は、季節の名前のそれではなくて
物語の中に出てくる、父親と血の繋がっていない弟のことだ。
「お前は俺に似て嘘が下手だ。」
血の繋がりがなくてもそう言う父親の愛情に報いるべく、
ジレンマの中でもがいている。

同じ伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』に、「桜」という青年が出てくる。
自分の価値基準のみに従って人を半ば強引に裁いていく。時に理不尽であっても、
「理由になっていない。」という彼の一言の後には必ず、銃声が響く。

理不尽なことに囲まれても、自分でルールを作っていく人につけられた名前が
「春」と「桜」。
この二人はよく似ていると思う。




| | コメント (0) | トラックバック (0)

死神はいつも雨

「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは渋滞だ。
それに比べればカタオモイなんてたいしたものではない。」

ミュージックと渋滞とカタオモイ。何故その3つを並べて考えるのか。
それは他でもない、彼が人間ではなく死神だから。

運命の日の一週間前に彼はやってくる。
その姿は純真な好青年のそれであったり、時にヤサグレたヤクザ風であったりする。
特に厳密な基準などはなく、彼が「可」と報告すれば実行され、
「見送り」とすれば文字通り一旦は見送られる。一旦見送られるだけだけれど。
仕事を終えると彼は、夜中のCDショップへ赴き、
視聴用のヘッドフォンでミュージックを際限なく聴く。

風邪で熱が出て、結果、家に閉じこもって本を読んでいる。
そんなつもりはないのに、こうもページが進むと、
本を読むために風邪をひいたかのよう。
寝込むのも忘れて、お陰様でこの読後感。
・・・悦に入る。


死神の精度

著者:伊坂 幸太郎

死神の精度






| | コメント (0) | トラックバック (0)

林檎を齧るような自然さで

「成瀬さん、警官の制服を着た人は、警察官に決まってるよ。」
「サンタクロースの格好をした男の大半は、サンタクロースじゃない。」

ははは。そうだね、と思いながら読み始めて、半日で一気に読了。
この人ので読みたいのが、まだあと2冊はある。
インフルエンザは治っても、去年の夏からの伊坂熱は未だ健在。

久遠が人の財布を掏って、免許証でその人の正体を暴くたびに
あ、免許更新行かなくちゃ。と現実に引き戻される一瞬が度々あるのが残念だった。
けど、それはただこっちの都合。


伊坂幸太郎 『陽気なギャングが地球を回す』




| | コメント (0) | トラックバック (0)

夏の朝露のように。

大切にしていたピアスがどこかへ消えてしまいました。
アスファルトを白く覆っていた雪が、昼には溶けて消えてしまうように。
まるで、朝方の星のように。
ただ、消えてしまいました。

そして、村上春樹の『象の消滅』を思い出した。
それどころではないのに。本気で探しているのだ。




「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

著者:村上 春樹
「象の消滅」 短篇選集 1980-1991




| | コメント (0) | トラックバック (0)

世界が動くのをやめたから

「だからあそこにいる鳩だって、ずっと変わってない。同じやつばっかりだ。」

いいえ、普通の人から見れば鳩は全部同じです。
食後服用の薬を飲むためだけの食事と睡眠を繰り返す一日が
何曜日だろうと同じだというのと変わらない。
私の土曜日は完璧な灰色だけど。

別に世界が動くのをやめたわけではないのです。


伊坂幸太郎の『チルドレン』。
寝込んでいるとはいえ、そうそう24時間ずっと眠っていられるわけではないので
ひさびさに読んでみた。
短編と短編が繋がって、長編小説のようになる感じは
この人の得意手法なのだね。


著者:伊坂 幸太郎
チルドレン (講談社文庫 (い111-1))



| | コメント (0) | トラックバック (0)

妄想リストランテ

「皮を剥いて、先を斜めに切り落として、切れ目を入れます。」
「うっすらとオリーブオイルをひいたフライパンできつね色になるまで炒めます」
「あさつきのほか、葉たまねぎや文化ねぎを添えてもよい。」
「田舎風のパン、ブルスケッタやフォカッチャなどと一緒にどうぞ。」

 
なんだか分からないけど、美味そう。
まずほとんど作らないけど、美味しそうだから料理の本が好き。



『伝言レシピ』 高橋みどり








| | コメント (0) | トラックバック (0)

知った風の女の子

「あと10分ばかりで大事な電話がかかってくるわよ」
「電話?」僕はベッドの脇の黒い電話機に目をやった。
「そう電話が鳴るの。」
「羊のことよ。」と彼女は言った。
「そして冒険が始まるの」


いつもこんな風に何かを知った風な女の子に話の先を握られながら
なぞかけをされながら、翻弄されながら進んでいく。
久々に読んだら、あまりページが進まない。

とりあえず、明日の新幹線はなにか別なのを探そうか。


『羊をめぐる冒険(上)』 村上春樹




| | コメント (0) | トラックバック (0)

本当になんだってする。

「本当に何だってする。そのとき僕はそう決めた。」


言いたいことは言えている。
それが自由に出来ているように見えても見えなくても

自分のためのそれは出来ている。
もしそれが出来ないんだったら、きっとそれは自分のためだからだ。
とりわけ私にとっては。

違う誰かのために何か言ったりやったりすることが
絶対に必要なのに、
それを日々、ひしひし感じてるはずなのに
自分のためにしか動けないことを

どれだけの人が感じてるの。
だから、そんなふうに思うから
こういう話があたかも「妄想」の果てにあるように感じるのか。

とりわけ私にとっては。



『国境の南、太陽の西』村上春樹
またボーっとしたい時に読もうかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

働くのが流行ってる

人の気持ちを捉える人やその言葉は、
そこにどんな力が働いているんだろうかと
以前に比べて少し頭を使う仕事をするようになった私は
少しものを考えるようになったし、少し本を読むようになった。
更にそれを楽しめるようにもなった。

それで、手にとってよかったなと思う本がたくさんあって。
ほぼ日のことについて書いた糸井重里さんの本がとても心地よい。

「ガツガツしないでゆっくりやっていこうよ。」
といいながらも「不眠ナルシズム」になってる自分がいる話とか
等身大で全部書いているから共感せざるを得ない。

嘘がないから出来るいろんなこと。
嘘がないから伝わるいろんなこと。
私に欲しいもの。


『ほぼ日イトイ新聞の本』糸井重里

| | コメント (0) | トラックバック (0)

閉じ込められたボブ・ディラン

「死んでも、生まれ変わるだけだから、悲しくないはずなんだけど。」

ブータンの人は本当にそう思ってるのかな。

否、人はそう教えられても「ああ、そうか、じゃあさみしくないね。」

とか思えないでしょう。

でも現実にそれを乗り越える力を与えることができれば、それは大きな力。

現実に起こりそうなことと、起こりえないこととが錯綜する。

そう思って読んでいたら、最後は全て起こりうることになっている。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

著者:伊坂 幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

一緒に本屋を襲わないか

「舐められるね。

人気のソフトクリームより舐められる。貼り直しの切手よりも舐められるぜ。」

現実にそんな言葉を吐く人がいたら、敬遠する。

でも本の中の台詞なら、一瞬だけ本を閉じて一息ついてにやり。

そういうフレーズ探しながら読むのが、この人の本の楽しみ方になりつつある。

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「蜜柑は鏡餅の上に。鳩は時計の中に。」

そこがほんとにしかるべき場所なのか?

でも、そう彼が言うのを間近で聞いたら、そのとおりと思うんだろう。

このキャラクターが一番好きだという友人は

登場回数も多いから嬉しいだろう。私もだ。

伊坂幸太郎『ラッシュライフ』
暫らくはこの人に、長い出張の移動時間の面倒を見てもらうつもり。

ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)

ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)

著者:伊坂 幸太郎

ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)

| | コメント (0) | トラックバック (0)